完全呼吸法とは、腹式呼吸、胸式呼吸、肩(鎖骨)呼吸、クンバク(息を止める)を
組み入れた呼吸法です。
クンバクは、息を止める動作なのですが、ヨガでは、プラーナを身体に留めて
身体の隅々に行き渡らせ、細胞を目覚めさせる呼吸なのです。
4つの呼吸法を取り入れるということは、お腹・胸・肩・喉までを意識し、
肺の下肺呼吸・中肺呼吸・上肺呼吸全部を使い、全ての肺胞や呼吸の筋肉といった、
呼吸器官全体を活動させるということです。
最少のエネルギー消費で、吸うこと、吐くことを最大限に引き伸ばし、
最大の効果が得られる呼吸法なのです。
必ず、「丹田」を意識して行なうことが大切です。
完全呼吸法は、日常のヨガのプログラム に取り入れることで、
無意識にしている自分の自然呼吸のパターンを正し、呼吸を深めることにつながります。
ヨガのレッスンなどでは、ポーズなどをとる前の最初のウォーミングアップで行われます。
安楽座や達人坐などの座法のポーズをとりながら、
腹式呼吸、胸式呼吸などと合わせて行なうことが多いです。
ただし、ポーズとともに行うことや、それ自体を絶えず繰り返すことはしません。
完全呼吸法は、呼吸の筋肉をフル活動させます。
特に肋骨をコントロールしている筋肉が活発に使われるので、
胸腔は前後左右に大きく拡がり、横隔膜がほぐされて上下することで
内臓がマッサージされて、全ての器官が自然に機能します。
肩まで十分に空気を満たすことで、血中の酸素やプラーナが増加され、
また、ゆっくりと息を吐き出すことによって、心臓の運動を鎮め血圧を安定させ、
精神をリラックスさせることができます。
自宅でも行うことができるので、怒りや悲しみなどの感情の乱れがあった時は、
この呼吸法を行なうことで、負の感情をコントロールし、
心を落ち着かせることができます。
完全呼吸は、息を吸う、息を止める、息を吐く、の三段階に分けてご説明します。
実際にはこれらは区切られずに一連の流れとなります。
呼吸の長さは、最初のうちは、「吸気1:クムバク1:呼気1」
慣れたら「吸気1:クムバク2:呼気2」としていき、
最終的には、「吸気1:クムバク4:呼気2」を目標に少しずつ近づけていきましょう。
息を吸う前に、まずは、息を吐ききるところから始めます。
丹田に意識して、ゆっくりと息を吐いていくと自然に下腹部(丹田)がへこんできます。
そのままさらに下腹部をへこませながら吐いていきましょう。
片方の手を丹田に、もう片方の手を胸の上にあてると、
お腹と胸の動きが分かりやすいです。
息を吸う時のイメージは、「腹式呼吸→胸式呼吸→鎖骨呼吸」 の流れで、
吸った息が、「丹田→肺→胸→気管支」 の順に流れていくのを意識します。
背筋を真っ直ぐ伸ばし姿勢を正した状態で、立つ又は座ります。
息は、ゆっくりと鼻から一定に吸います。
初めは、腹式呼吸の要領で、横隔膜の動きを使って肺の下部に息を満たしていきます。
横隔膜が下に動くことで腹部の器官を圧迫し、お腹が膨らみます。
さらに、胸式呼吸の要領で、下部肋骨、胸骨、胸部を前に突き出す感じで
胸郭を広げながら吸い込み、肺の中部を満たしていきます。
続けて、鎖骨呼吸の要領で、肩を少し上げ、胸の上部を突き出しながら息を吸い込み
肺の上部を満たしていきます。
これによって胸部の上部の肋骨を持ち上げます。
最後の動きでは、下腹部は少しへこみ、この動きが肺の支えとなり、また肺の最上部を満たすのにも役立 つ。
「息を吸う」時のポイントは、吸気が身体のどこに入っているかを意識しながら
行なうことが大切です。
常にプラーナの動きを確認していきましょう。
約2~3秒間、自然に息を止めます。
この時、丹田に力を集中し、肛門を締めて、肩とみぞおちの力を抜きます。
クムバクは、プラーナを身体に取り入れ、生命エネルギーを全身に行き渡らせ、
生命力を満ち溢れることにもつながっています。
吐く息はとてもゆっくり吐いていきます。
胸の位置を維持しながら、腹をへこませながら息を吐いていきます。
さらに胸を元に戻しながら吐き、続けて肩を下げながら吐きます。
空気が完全になくなったら、胸とお腹をリラックスさせます。
そして、1.につなげて繰り返します。
この1~3が自然な一連の流れで出来るようにします。
次のページでは、「ウジャイ呼吸法(勝利の呼吸法)」についてご紹介します。