カパラバティ呼吸法

カパラバティ呼吸法

カパラバティ呼吸法とは?

カパラバティ「kapalbhati」の「kapal」は「頭蓋」「前頭」、
「bhati」は「光」「輝き」や「知覚」「知識」という意味です。
直訳すると「光る頭蓋骨」という意味です。

カパラバティ呼吸法は、肺や鼻孔、前頭部分の空気が換気され、
スッキリさせる効果があります。

カパラバティは、ハタ・ヨガから生まれています。
ハタ・ヨガは、陰(月)と陽(太陽)の対となるものを統合するヨガ流派とされており、
より高いレベルの瞑想、つまり最終的に解脱を達成するための準備段階であり、
身体を鍛錬し浄化する段階であると言われています。

このハタ・ヨガで行う浄化法を「シャット・カルマ」と言い、
アーサナ(坐法)とプラーナーヤーマ(調気法)と同じく、
ハタ・ヨガにおける重要な技法の1つです。

「シャット・カルマ」は、以下の6つの浄化法を指します。
カパラバティ呼吸法は、そのシャット・カルマの1つに分類されます。

  1. ダウティ(Dhauti)・・・内臓(食道・胃・歯・ノドなど)の浄化法
  2. バスティ(Basti)・・・直腸(肛門)の浄化法
  3. ネティ(Neti)・・・鼻孔内の浄化法
  4. トラタカ(Trataka)・・・眼の強化法
  5. ナウリ(Nauli)・・・腹筋の強化法
  6. カパラバティ(Kapalbhati)・・・肺の浄化法

カパラバティ呼吸法を行なう時のポイント

必ず空腹時に

カパラバティ呼吸法は、必ず空腹時に行いましょう。
空腹時であれば、一日の中でどんな時間帯に行なっても良いですが、
できれば、起床後に白湯を飲んで、トイレに行った後がベストです。

食後は避ける

食事をしてすぐに行うのもNGです。
カパラバティ呼吸法は、短時間で多くの横隔膜や腹筋を使います。
食事が胃の中に残っている状態で行うと、消化不良などを起こし腹痛の原因にもなりますし、場合によっては胃腸障害を起こします。
また、消化する為に全身の血液が胃に集中していますので、
体内の循環器系のバランスが取りづらく、呼吸法の効果も出にくくなります。

少なくとも食後3時間は空け、胃に食べ物が無い状態で行うようにしましょう。

また、カパラバティ呼吸法の直後も食事をとらないようにします。
食事は、呼吸法で使った横隔膜と腹筋を十分に休めた後に、ゆっくり取ります。
最低でも30分は何も食べないほうがよいでしょう。 

おすすめのタイミング

ヨガのアーサナ(ポーズ)と合わせて行うならアーサナを行なった直後、
また「シャット・カルマ」のうち「ネティ(鼻孔内の浄化法)」を行なった直後に行うのがよいそうです。
カパラバティ呼吸法の後は、メディテーション(瞑想) やダラナ(集中)に入ります。

カパラバティ呼吸法を行なう時の注意点

やってはいけない人

  • 心臓疾患、高血圧、めまい、てんかん、卒中、ヘルニア、胃潰瘍(胃腸トラブル)を患っている人
  • 妊娠中、生理中、の人
  • 手術後の人

初めは必ず指導者のもとで

非常に高度で危険性も高く、完全呼吸や腹式呼吸が自然にこなせるレベルでないと
難しい呼吸法です。
必ず信頼できる指導者のもとで練習することが重要です。

異常を感じたら

何かしら痛みやめまいを感じたらすぐに練習を中断します。
落ち着くまでは静かに座っていましょう。
症状がおさまったら、意識を集中して、無理をせずに練習を再開します。
症状が続いたり再発するようなら、速やかに練習を中断し指導者に相談しましょう。

カパラバティ呼吸法の効果・効能

肉体面

  • 腹筋や横隔膜を鍛える
  • 腹部の脂肪燃焼
  • 肝臓や腎臓などの内臓強化
  • 消化促進(消化器官の調整)
  • 血行の改善
  • 鼻孔の浄化
  • 肺の浄化(ぜんそく、肺気腫、気管支炎、結核の改善)
  • イダ(※1)とピンガラ(※2)のナディ(プラーナの通り道)を浄化

精神面

  • ストレス解消
  • マイナスエネルギーの解放
  • 眠気を覚ましスッキリさせる
  • 思考力や直感力(洞察力)を鍛える
  • 心と意識のバランスを保つ
(※1)イダ
イダは左側の仙骨(膀胱経の左側)から始まり、背骨に沿って左の鼻腔の所で終わります。
イダは右脳を刺激し、女性形、 冷、月のエネルギーを象徴し、体内や心を浄化して必要な栄養分を与えると言われています。
イダ(月、女性性、冷やす、副交感神経、右脳に関連)
(※2)ピンガラ
イダと対称的で、右側の仙骨(膀胱経の右側)から始まり、背骨に沿って右の鼻腔の所で終わります。
ピンガラは左脳を刺激し、男性形、熱、陽のエネルギーを象徴し、 肉体の強化やバイタリティーを与えてくれると言われています。
ピンガラ(太陽、男性性、温める、交感神経、左脳に関連)

カパラバティ呼吸法のやり方

STEP:1

両脚をクロスし、背筋を伸ばして座ります。(安楽座、達人座、蓮華座などの瞑想のポーズ)
目を閉じて、全身をリラックスさせ、数回ほど呼吸をして準備を整えます。

STEP:2

下腹部に意識を集中させます。
両鼻から深く息を吸い、お腹(下腹部)を膨らませます。
次に、口を閉じ、腹筋に力を入れて瞬間的に引き締め、鼻から「シュッ」と音が出るぐらい強く短く息を吐き、お腹を内側に引き寄せるようにへこませます。
この時、無理をして力を入れすぎないように注意しましょう。

STEP:3

強く短く息を吐きだしたら、すばやくお腹をゆるめ、自然に入ってくる息を吸います。
吸う呼吸は意識的に行わず、腹筋の力が解放されお腹が膨らむことで
息が自然に入ってきます。

この、吐いて・吸うパターンを1、2秒で1回行う速さで、
心の中でカウントしながら8〜10回繰り返します。
最後に深い呼吸をします。
これを1ラウンドとし、3~5ラウンド続けます。

この一連の呼吸は、胸ではなく腹筋を使うことが重要です。
息を吐く時に腹筋を使い、腹部を一気に収縮させることにより横隔膜が上がり、
空気を肺から一気に押し出し、強く短い息となります。
そして、腹部の筋肉の力を抜くことで、横隔膜が下降し、受動的に吸気が起こります。

STEP:4

1ラウンドの呼吸が10回できたら、
吐いて・吸うパターンを1秒で2回行う速さにしていき、
1ラウンドの呼吸を15~20回に増やしていきます。
それを最高5ラウンドまで行ないましょう。

上級者は10ラウンドまで進めてもよいですが、それ以上は熟練者の指導者のもとで
行うようにしてください。

STEP:5

指導者のもと、徐々に呼吸を追加していき、100回、200回、300回まで増やしていきます。
練習のペースにもよりますが、毎日練習を行なえるのであれば、
1週間で15回の呼吸を追加していくとよいでしょう。

200回、300回までできるようになるには、かなりの訓練と時間を要します。
自然に無理なく、自分のやりやすいリズムで行なうのが大切です。
1分間に120回ほどできるようになれば理想です。

次のページでは、「シータリー呼吸法」についてご紹介します。