カパラバティ「kapalbhati」の「kapal」は「頭蓋」「前頭」、
「bhati」は「光」「輝き」や「知覚」「知識」という意味です。
直訳すると「光る頭蓋骨」という意味です。
カパラバティ呼吸法は、肺や鼻孔、前頭部分の空気が換気され、
スッキリさせる効果があります。
カパラバティは、ハタ・ヨガから生まれています。
ハタ・ヨガは、陰(月)と陽(太陽)の対となるものを統合するヨガ流派とされており、
より高いレベルの瞑想、つまり最終的に解脱を達成するための準備段階であり、
身体を鍛錬し浄化する段階であると言われています。
このハタ・ヨガで行う浄化法を「シャット・カルマ」と言い、
アーサナ(坐法)とプラーナーヤーマ(調気法)と同じく、
ハタ・ヨガにおける重要な技法の1つです。
「シャット・カルマ」は、以下の6つの浄化法を指します。
カパラバティ呼吸法は、そのシャット・カルマの1つに分類されます。
カパラバティ呼吸法は、必ず空腹時に行いましょう。
空腹時であれば、一日の中でどんな時間帯に行なっても良いですが、
できれば、起床後に白湯を飲んで、トイレに行った後がベストです。
食事をしてすぐに行うのもNGです。
カパラバティ呼吸法は、短時間で多くの横隔膜や腹筋を使います。
食事が胃の中に残っている状態で行うと、消化不良などを起こし腹痛の原因にもなりますし、場合によっては胃腸障害を起こします。
また、消化する為に全身の血液が胃に集中していますので、
体内の循環器系のバランスが取りづらく、呼吸法の効果も出にくくなります。
少なくとも食後3時間は空け、胃に食べ物が無い状態で行うようにしましょう。
また、カパラバティ呼吸法の直後も食事をとらないようにします。
食事は、呼吸法で使った横隔膜と腹筋を十分に休めた後に、ゆっくり取ります。
最低でも30分は何も食べないほうがよいでしょう。
ヨガのアーサナ(ポーズ)と合わせて行うならアーサナを行なった直後、
また「シャット・カルマ」のうち「ネティ(鼻孔内の浄化法)」を行なった直後に行うのがよいそうです。
カパラバティ呼吸法の後は、メディテーション(瞑想) やダラナ(集中)に入ります。
非常に高度で危険性も高く、完全呼吸や腹式呼吸が自然にこなせるレベルでないと
難しい呼吸法です。
必ず信頼できる指導者のもとで練習することが重要です。
何かしら痛みやめまいを感じたらすぐに練習を中断します。
落ち着くまでは静かに座っていましょう。
症状がおさまったら、意識を集中して、無理をせずに練習を再開します。
症状が続いたり再発するようなら、速やかに練習を中断し指導者に相談しましょう。
両脚をクロスし、背筋を伸ばして座ります。(安楽座、達人座、蓮華座などの瞑想のポーズ)
目を閉じて、全身をリラックスさせ、数回ほど呼吸をして準備を整えます。
下腹部に意識を集中させます。
両鼻から深く息を吸い、お腹(下腹部)を膨らませます。
次に、口を閉じ、腹筋に力を入れて瞬間的に引き締め、鼻から「シュッ」と音が出るぐらい強く短く息を吐き、お腹を内側に引き寄せるようにへこませます。
この時、無理をして力を入れすぎないように注意しましょう。
強く短く息を吐きだしたら、すばやくお腹をゆるめ、自然に入ってくる息を吸います。
吸う呼吸は意識的に行わず、腹筋の力が解放されお腹が膨らむことで
息が自然に入ってきます。
この、吐いて・吸うパターンを1、2秒で1回行う速さで、
心の中でカウントしながら8〜10回繰り返します。
最後に深い呼吸をします。
これを1ラウンドとし、3~5ラウンド続けます。
この一連の呼吸は、胸ではなく腹筋を使うことが重要です。
息を吐く時に腹筋を使い、腹部を一気に収縮させることにより横隔膜が上がり、
空気を肺から一気に押し出し、強く短い息となります。
そして、腹部の筋肉の力を抜くことで、横隔膜が下降し、受動的に吸気が起こります。
1ラウンドの呼吸が10回できたら、
吐いて・吸うパターンを1秒で2回行う速さにしていき、
1ラウンドの呼吸を15~20回に増やしていきます。
それを最高5ラウンドまで行ないましょう。
上級者は10ラウンドまで進めてもよいですが、それ以上は熟練者の指導者のもとで
行うようにしてください。
指導者のもと、徐々に呼吸を追加していき、100回、200回、300回まで増やしていきます。
練習のペースにもよりますが、毎日練習を行なえるのであれば、
1週間で15回の呼吸を追加していくとよいでしょう。
200回、300回までできるようになるには、かなりの訓練と時間を要します。
自然に無理なく、自分のやりやすいリズムで行なうのが大切です。
1分間に120回ほどできるようになれば理想です。
次のページでは、「シータリー呼吸法」についてご紹介します。