火の呼吸とは、クンダリニー・ヨガの呼吸法をベースにしたトレーニング法です。
クンダリニー・ヨガの特徴は、悟りを得るために必要なシャクティ(性力)を
活性化させるヨガで、生涯をかけて修行を行なうことでクンダリニーが
穏やかに活性化し始め、各チャクラが徐々に開発されていくようになります。
火の呼吸はカパラバティ呼吸法と同様に、1分間に約200回という速度で
1~5分間持続して腹式呼吸を行なう呼吸法ですが、
厳密にはカパラバティ呼吸法とは異なると言われています。
カパラバティ呼吸法はハタ・ヨガから生まれているのに対し、
火の呼吸はクンダリニー・ヨガが発祥です。
カパラバティ呼吸法は、イダとピンガラのナディ(プラーナの通り道)を
浄化するのに対し、火の呼吸は、イダとピンガラのバランスを保つ、ということです。
カパラバティ呼吸法と同様に以下の点に注意しましょう。
カパラバティ呼吸法は、必ず空腹時に行いましょう。
空腹時であれば、一日の中でどんな時間帯に行なっても良いですが、
できれば、起床後に白湯を飲んで、トイレに行った後がベストです。
食事をしてすぐに行うのもNGです。
カパラバティ呼吸法は、短時間で多くの横隔膜や腹筋を使います。
食事が胃の中に残っている状態で行うと、消化不良などを起こし腹痛の原因にもなりますし、場合によっては胃腸障害を起こします。
また、消化する為に全身の血液が胃に集中していますので、
体内の循環器系のバランスが取りづらく、呼吸法の効果も出にくくなります。
少なくとも食後3時間は空け、胃に食べ物が無い状態で行うようにしましょう。
また、カパラバティ呼吸法の直後も食事をとらないようにします。
食事は、呼吸法で使った横隔膜と腹筋を十分に休めた後に、ゆっくり取ります。
最低でも30分は何も食べないほうがよいでしょう。
カパラバティ呼吸法と同様、初めて行う場合は、必ず信頼のある指導者のもとで
練習を行うことが重要です。
上記にあてはまる人のほか、体調がすぐれない時も避けます。
健康状態が良好な状態で実践するようにしましょう。
非常に高度で危険性も高く、完全呼吸や腹式呼吸が自然にこなせるレベルでないと
難しい呼吸法です。
必ず信頼できる指導者のもとで練習することが重要です。
何かしら痛みやめまいを感じたらすぐに練習を中断します。
落ち着くまでは静かに座っていましょう。
症状がおさまったら、意識を集中して、無理をせずに練習を再開します。
症状が続いたり再発するようなら、速やかに練習を中断し指導者に相談しましょう。
火の呼吸法は、短時間で驚異的な速度の腹式呼吸を持続的に行なうことで、
脂肪などを燃やす有酸素運動の効果も得られます。
また、短時間でエネルギーを高めるため、神経系、内分泌系、脳に強く働きかけるとともに、腹筋を激しく動かすため、横隔膜の周辺にある自律神経が刺激され、乱れが整います。
腹筋も鍛えられるため、基礎代謝もあがり、免疫力も強くなります。
両脚をクロスし、背筋を伸ばして座ります。(安楽座、達人座、蓮華座などの瞑想のポーズ)
目を閉じて、全身をリラックスさせ、数回ほど鼻呼吸をして準備を整えます。
みぞおち当たりにエネルギーを集中させるようにしますが、
肩、胸部はリラックスした状態を保ちます。
両鼻から深く息を吸い、お腹を膨らませます。
次に、お腹を背骨の方に勢いよく引き込むようにへこませて、両鼻から息を吐きます。
そして、へこませたお腹をゆるめ、自然に両鼻から息を吸います。
この、吸気と呼気の間隔を途切れさせず断続的に行います。
初めは1分間に30回くらいのペースで、3分を目標に行います。
慣れてきたら徐々に速くしていき、1分間に200回程度の速さで行ないます。
それができるようになったら、様々なポーズに取り入れていきます。
呼吸の間は、肩と胸の力を抜きます。
吸う時は、お腹をリラックスさせ力を抜き、自然に横隔膜が下がるようにします。
この時、自然に息が入ってくるようにしますが、意識は吐く息と同じように置き、
呼気と吸気のバランスを等しくします。
次のページでは、「バストリカ呼吸法」についてご紹介します。