丹田(たんでん)とは、おへそから握りこぶし1つ分程下にあたる部分をさします。
仰向けに寝ている状態から少し身体を起き上がらせると、下腹部の腹筋が硬くなります。
その一番硬くなった所が丹田です。
その丹田を意識した呼吸法です。
丹田から息を吐き出すようにして、腹筋が硬くなるのを確認しながら
ゆっくりと呼吸をしていきます。
最初は慣れないですが、毎日続けると自然と丹田呼吸ができるようになってきます。
少しずつでも続けることが大切です。
丹田呼吸法を行なうことで、横隔膜が鍛えられます。
それにより、自然治癒力や免疫力を高め、病気を克服・予防します。
心の安定化・活性化をもたらし、前向きに生きる意欲を高めてくれます。
武道・芸道などの上達を促し、芸術・文化に渡って心身を向上させる効果が
あるとされています。
深層筋が鍛えられることで、姿勢が正しくなります。
また、心理的にも効果があります。
丹田呼吸を行なうことで、全身の血液の循環がよくなり、
血行が促進され身体が暖かくなってきます。
身体がリラックスしてきて、充実感とともに
「自分は生きている」という生命の実感を得られます。
理想的な姿勢は、上半身はリラックスし、下半身はどっしりした状態の
上虚下実(じょうきょかじつ)です。
丹田に意識を集中させることがポイントです。
ゆっくりと、深く呼吸をしますが、無理をせず自然に行なうことが大切です。
呼吸は鼻で行ないます。鼻から吸って、鼻から吐きます。
まず最初に息を吐くところから始めます。
息を吐く時は、
丹田→へそ→胸→気管支→鼻
の順で吐きます。
息を吸う時はその逆で、鼻から
鼻→気管支→胸→へそ→丹田
の順で吸います。
息を吐く時は、丹田から絞り出すようにゆっくりと息を吐きます。
少し長めに1~8まで数えながら吐き続けます。
吐くにつれてお腹がへこみ、背中とくっつくように意識します。
そして、腹筋が硬くなっていくのを感じましょう。
吸う時は鼻からゆっくり吸いこみます。胸は膨らませずに丹田を膨らませます。
1~4まで数えながら吸っていきます。
丹田呼吸ができていれば、段々と身体がポカポカしてきます。
これは、全身の血行がよくなっているからです。
15分、30分と続けると汗ばんできます。
丹田呼吸がきちんとできて、身体に効いている証拠です。
もし、身体が暖かくならなければ、それは丹田呼吸になっていない、
ということです。
丹田呼吸法の練習は3通りあり、3段階で練習していくとよいでしょう。
3つの方法ができるようになれば、場所や気分に合わせてチョイスしてみるとよいです。
椅子に座ります。深く腰掛けるのではなく、軽く座るくらいにします。
両手を丹田に当て、3拍子で息を吐きます。
1で、両手で軽く丹田を押さえ、
2で、両手の指先で丹田を押さえ、
3で、さらに指先で丹田を押さえこみながら、息を全部吐ききります。
指先で腹筋が硬くなっているのを感じながら、息を吐き出します。
ゆっくり鼻から息を吸って、同じように繰り返します。
第一段階と同じように椅子に軽く座ります。
両手を腰に当て、丹田にむかってずらしながら、3拍子で息を吐きます。
1で、両手を下腹の丹田に向かってずらしてきます。
2で、両手の指先で丹田を押さえます。ここは第一段階の2の時と同じです。
3で、両手の指先を丹田に押し込みながら、上半身を少しずつ前に倒していき、
息を全部吐ききります。この時も、腹筋が硬くなっているのを感じてください。
息を吸う時は、上半身をゆっくり起こしながら、両手を丹田から腰へずらしていきます。
3拍子のリズムで同じように繰り返します。
同じく椅子に軽く座り足を広げます。両手の動きは第二段階と同じで最初は腰にあて、
上半身を少し後ろにそらした状態から始めます。3拍子で息を吐きます。
1で、両手を腰に当てて、上体を反らします。
2で、上体を起こしながら両手を丹田に向かってずらし、背筋を真っ直ぐに伸ばします。
3で、背筋を伸ばしたままの状態で、沈み込みながら息を吐ききります。
両手の指は丹田に押し込んでいきます。
沈み込む感じは、丹田の上、もしくは骨盤の上に乗るようなイメージです。
背中は曲げずに背筋を伸ばしたままで、息を吐き出します。
身体が上虚下実の状態にするのがコツです。
吸う時は、また上体を反らします。
3拍子のリズムで同じように繰り返します。
次のページでは、「完全呼吸法」についてご紹介します。